涼しい夏に想うこと

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朝の目覚めはすっきりしていて、いつもの夏の寝苦しい夜を思えば嘘のような気がします。そのことは私にとっては大変に有難いことで、天に向かって感謝の言葉を投げかけたいくらいなのです。それでも心の中には一抹の寂しさのようなものが残ってしまいます。

どうやらそれはいつもの夏とどこか少し違って見える風情のせいかもしれないと、自分の気持ちを慰めてみるしか今のところ取るべき手段は見つからないようなのです。何んといってもそのことは自然が相手のことですから、じっと天の采配を待つしかないことなのです。それはわかっているのですが、それでもどうにかできないものかと熟考を巡らしてみても詮無いことだと思ってしまいます。

塩辛トンボや麦わらトンボは私のすぐ近くのところをすぃーと飛行して、山の道を向こうのほうに確かに飛んでいきます。鶯も鳴きホトトギスもいつもの公園があるせせらぎが流れているそばの雑木林の中ほどで鳴いていた。キツリフネの黄色い花もあちこちに散らばっていました。

 けれどもこの静けさはいつもと確かに違うようなのです。私の頭の中ではじぃーじぃーと息つく間もなく鳴き続けていた、あのうるさいどうにも我慢ならない音が聞こえてこないことには、暑い夏がやってきた実感が湧いてこないような気になってしまうのです。まだ時期は早いのだろうか。ふとそんな気もしますが何とも落ち着かない涼しいとても有難い時を少し心配気に過ごしているのです。