子猫との出会い

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わが家のポンポコリンは、朝になると私のベッドをガリガリと爪とぎして挨拶にやって来ます。それは嬉しいのですが、何とも困った癖がついてしまったようです。そうは言ってもその迷惑な音を聞くと、何やら今日一日が始まることも事実です。

 

丁度一年ほど前に近くの野原で子猫を拾ってきたのです。その場所は小高く盛り上がった山のすそ野になっていて平らにならされていました。そこに桐箪笥の原材料となる製材されたばかりの木材が、いくつも横に立てかけるようにして晒される場所になっていました。

 

そこは里山に通じる道のわきにある場所でしたので、山に走りにいくときはよく目に入るところでした。あの日も山に向かって走っていくと何やら小さな黒いものが、丸太が積んであるところでちょろちょろ動いているのが見えました。

 

そばに近づいていくとまだ幼気な猫が一匹、何かにじゃれているのがわかりました。すぐに気がつきました。「捨て猫!」。あたりを透かして見るとほかにも少し大きめな猫が走り回っていました。その子猫を見たときに胸の高鳴りを覚えたものです。

 

まったく無防備に戯れている姿に私は危ういものを感じたのです。幸い空にはトンビやカラスはいませんでした。このままにはしておけないと妙にせかせられるようなものを感じていました。10月の中旬ともなると朝夕の冷え込みが厳しくなってきます。

 

明日まで待っていてはその小さな命はどうなるのか火を見るよりの明らかなことです。私は山のなかを2時間ほど走り終えると、すぐにあの小さな猫がどうなっているのかあの場所にいってみました。するとまだいたのです。もうこうなると一刻を惜しむように家に急いで向かいました。